句評 三良


 稲架棒穂の軽き束掛けにくゝ

 今月も凶作冷害の句が多かった。みなそれ
ぞれに悲惨をうたっているがのがわかる。し
かしこの句のように実らぬ稲は稲架にかかり
にくいと感じたままを句にしたのは少なかっ
た。
 しかし凶作凶作と騒ぐ以上に深刻な真実を
詠む者の心に訴えるのである。

        昭和五十六年

戻る ( 句 評 ) 次の文へ