短評   三良


 稲の穂を握りて見たく来しという

 百姓をやめた老人が、少年の頃より都会に
出て、久しぶりに帰ってきた人が、以前に握
ってみたあの稲の穂の手触りを忘れ得ぬ人が
、根っからの日本人、根っからの百姓を尊い
ものと思う。

        昭和五十九年

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