選評  手古菜


 引汐となりて流るゝ菜屑かな

 海の水の入る川口の流れを見ていると、よ
どんで少しも流れぬようであるが、引き汐に
なると海の方へ水が流れてゆくので、川の水
も少しづつ流れてゆく。水に浮かんでいる菜
屑も自ずから流れてゆくというのである。静
観の句である。

        昭和四十年

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