選評 手古奈


 かはほりの夜桜の灯をはなれずに

 蝙蝠は夏の季題に入っているが、桜の頃に
なると、もう飛びだしている。黄昏時などよ
く飛びまわっている。
 夜桜の灯のまわりをしきりに飛んでいるこ
ともある。
 夜桜の灯を離れずに、そのまわりを飛んで
いるというのである。
 「はなれずに」が働いている。 

        昭和四十五年

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