紫苑咲きて静かな日和続きけり 月上げて杉の葉なる花こぶし 雪被ぐつるうめもどき美しや
一人静地鎮の鍬を借りて掘り 渓流のいよいよ奇なり額の花 玄関の戸にふれそうにうめもどき
こぶしの芽堅し寒風まだきびし 狂い咲くたんぽぽ小さき芝生かな 二三輪咲きしのみなる花こぶし
こけもゝと御膳橘交じり咲く はまなすの黄葉のまゝに藪巻かれ 額咲いて老先生の庭涼し
点々と額の紫みどり中 花盛り白にピンクにかきつばた 木立中一人はなれて額に佇ち
一山は茂りにまかせ額も咲き 百日紅見ている人を見て立ちぬ 寺までの登り径なる萩の径
月上げて杉の葉なる花こぶし 山萩を大きく煽る瀬風かな 久々に会いし喜びねむの花
桃の花匂い桜餅匂う かたわらに桃咲いている春炉かな 仰ぎ見る朴大樹なり花咲けり
朴の花点々と咲き高きかな 谷川の音ばかりなり朴の花 あすなろの花咲くという十二月