いう状態で、歓迎に窮するしまつでした。
農村風景吟行とはいうものの村外れの神社
まで行って帰るぐらいではほんとうに味気な
いものと思われて、つい来客の顔色をそれと
なく拝察してみたが、それがどうも見当ちが
いのようで、何かもの珍しい様子であります
。徳川時代、殿様のお上りに沿うて出来た村
落で、その頃大沢焼の釜のあった所で村自体
も昔のままの区割りで存在しており、二百年
からの屋敷に今も変わることなく、そのまま
の子孫が住まいしておるなどが、自然と今日
の人々の心に映ってなんとなく異様に感じら
れているのかも知れない。
折りよく雪晴れに恵まれて椿、さかき、籬
が美しく雪を被て早春の影をひき、椋鳥やか
すけが遠慮なく啼きつゝ飛び交うている。
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